
つい先日、全世界での店舗数において、ファーストフードのマクドナルドやケンタッキーを抜いて、サブウェイが一位になったというニュースがあったのを記憶しています。これは日本でのサブウェイの店舗数が比較的少ないことからみると、日本人からしたら不思議な状況だと思います。とくに都市圏では多いものの都道府県によっては1店舗もないようなところもありますから、日本での展開は「爆進」というよりも、「堅調」ですね~。
この世界店舗数での計算で首位に躍り出た要因ですが、サブウェイの新興国市場への展開が功を奏してかたちとなったでしょう。(とはいっても、マクドナルドも数日前に最高益の決算予想をあげたばかりですし、これからサブウェイの利益率がどうなっていくかは未知数ではありますが。)
実際に中国でのサブウェイ(賽百味と書いてSaiBaiWeiサイバイウェイと読みます。)の展開は以上とも言えるほどの速度で増えています。これは僕個人の北京市内での消費者実感としても、各地に次々とサブウェイが出来ていくさまはかなりの急展開だと思います。最近では、中国でも温家宝首相率いる国務院の「意図的な危険食品の摘発」が増えていますね。これはご存知のとおり、いままで産業成長優先で企業のモラル意識に対して当局が暗黙の了解をしていたわけですが、この最近にきて中国内の不満を回避するためのひとつの方策として「この摘発」が一気に増えたわけです。例えば、スイカ爆発事件やドーピング豚肉などは記憶に新しいところだと思います。
これらは、これまでなかったわけでなく、これまでもあったにもかかわらず故意に無視されてきたわけですね。
それで、サブウェイといえばマクドナルドやケンタッキーといった大手のファーストフードが安くて美味しいけれども不健康というブランドイメージに対して、高額だけれども健康的というブランドイメージがあります。サブウェイ(参考:http://www.subway.co.jp/)をご存じない方もいらっしゃるとおもうので、補足しておきますと、サブウェイは客がパンの種類、新鮮な野菜、メインの鶏肉やエビなどの具材、そしてソース、ドレッシングをその場、店舗で選択肢、オリジナルの贅沢なサンドイッチをつくってくれるファーストフードの形態です。ですから、他のファーストフードとは趣も異なりますし、またブランドイメージも健康志向で定着してきています。
こうしてみると、まずは中国の市場環境は、中国での政府の危険食品への摘発なども後押しになって、中国大衆の中でアンチ危険食品への意識がゆるやかに醸成されてきているわけです。そして、この方向性とサブウェイのブランドイメージは合致しています。また新興国への積極展開というサブウェイの戦略があります。
これらから、ますます中国ではサブウェイが増えていくのは必至でしょう。
しかし、問題がまだまだあります。中国内の店舗スタッフのレベルです。他のマクドナルドなどの店舗スタッフは店の奥で画一的な調理作業をおこなうので良いのですが、サブウェイの場合には対面販売における客とのコミュニケーションが重要になります。これはその場でオリジナルのサンドイッチをつくるために、会計だけの手続きではなくて、「会話」が必要になるわけです。この時に僕が10店舗近い異なる店をみてみて気づいたのですが、まったくもってサービス、店舗スタッフ教育の品質が異なるということです。このサービスのばらつきは、ファーストフード店舗展開にとって致命的なミスであります。
ファーストフードは一見丁寧なサービスにみえても、それはマニュアルでの徹底的な対応項目が画一的になされているということが肝心です。なぜならば、すべての店舗で画一的な製品・サービスを展開することこそが、ブランドを守り、ブランドをつくり上げる唯一重要な戦術であるからです。
ファーストフードはフランチャイズの一つのビジネスモデルの形態です、どこにいっても同じ味を同じ価格で楽しめるという安心感が、そのファーストフードのファーストフードたるブランド価値を高めているわけです。
ですから、中国のサブウェイの店舗スタッフのサービス態度のばらつきは大変危険なものです。それだけでなく、サブウェイはその場で作りますから、スタッフによって量が多かったり少なかったりが極端に発生します。以前僕がいってひどかったお店では、中にいれた玉ねぎが「たったひとつの輪っか」でした。ぼくが驚いて「もう少し追加してください」といったら「輪っか」がもう1つ加わっただけでした。みなさんわかりますか?あのオニオンのスライスした円形のやつが何層にもなっているのではなくて、一つの輪っかだけだったんです!(そして態度も悪い)
また別の店舗では、とても丁寧なコミュニケーションで、何にいたしますか? これがあうとおもいますが・・・などなどと丁寧に回答があり、さらに、中に入る野菜なども調度良い適量で、多くしてくださいといえば嫌な顔ひとつせずにいれてくれます。
このようにして、店舗ごとの差異は、サブウェイというブランドの価値を向上させません。サブウェイが良い、というよりも「どこの店舗が良い」というだけになってしまい、サブウェイがあればどこでも入ろうという気にならなくなってしまうんですね。
そんなわけで、だらだらと書いてしまいましたが、せっかくの外部環境がかなり好状況である広大な市場の中国でありまして、中国政府が「無視しなくなった危険食品→大衆のアンチ危険食品意識」という追い風です。だから、企業内部の問題として、これらの画一化にもう少し努力してほしいです、これが見えてきたら、さらに爆発的にサブウェイ来ますよ。
もしくは、これを達成できる他のファーストフードが出てきたら、そこが中国内では一気にサブウェイを追い抜くかもしれません。
※ちなみに中国のサブウェイは、なんと値段も、プロモーションキャンペーンも店舗によって委ねられています。おそらく企業内戦術レベルで意図的にこうした、現場自由度の高いフランチャイズ契約にしている可能性があるが、長期的な発展には是正されるべき。今は意図的に非画一性による急展開を目指しているのかもしれないですが、画一性に舵取りするタイミングを誤ると他ブランドの追撃により失敗します。

(僕の研究在籍する北京大学構内にもこんなゴミゴミした所で、サブウェイが昨年から入り込みました。横の店舗では、ちまきや豆乳、果物が自由市場で売られているオーソドックスな中国スタイルなのに、いきなり突然感がありますねww)
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