「難しい」から挑戦したい?「難しい」からできない?

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新しく、「ストラテジー雑想手帖」というエントリータグ・カテゴリーを作ってみました~。

ここでは、僕がもや~~んと思い立った、ストラテジー、戦略論などなどについて、ちょっと小難しく書いてみようというものです。どちらかというと、メモに近いので、細かい考察もしていませんし、ブログをご欄のみなさんに、公開するのもどうなのかなぁというものばっかりですが、僕の頭の中の「ガラクタ箱」のようなものなので、ひょっとしたら面白いアイディアの原石が転がっているのかもしれません・・・・。

というか、研究者であるならば、こういったアイディアは正式パブリッシュ前に、公開しちゃいけないもんなのですが、今や、ソーシャルメディアバンザイ!の時代、みなさんからの批判やご意見などをバンバンととりいれて、よりよいセオリーに仕立てていくってのもいいんじゃないかな~ということで、実験的に、この「ストラテジー雑想手帖」というものでちょこちょことメモを増やしていこうかなと思いますです。


 先日、チャイナネットの方のブログで、「オトナ語」について語っていたときに、「フィージビリティー」というオトナ語を思いつきました。オトナ語ってゆーのは、あれですよね、日本人が、外来語をわざと外来語のまま使うことで、「俺ってあたまいいんだぜ~」みたいな欲求をみたしたり、「ビジネスの用語としてオトナのマナーじゃないですかね」みたいな敢えて難しい業界用語を使うことでの徒弟制度的態度であったり、「あれ、日本語でなんていうの?」みたいな概念的に新しいものを表現するために現代日本語で不足なところをうめたりする王道的外来語であったり、まぁ、そのいずれにしても、定義がゆらゆらしていながらも、そんな、いろんな意図のもとに、英語そのままの「カタカナ」で表現されるものです。とくに、政治の世界や、文学の世界などよりも、ビジネスの場面(とくに仲間内でのミーティングなど)で使われることが多いものでありますよね(実際に、完全に日本語化されていない外来語を意気揚々と使うのは失礼だという認識がある場合も多くて、社外対応時や上司への報告時には使われるケースが少なくなるような気もします。)。

 こうした、ハラハラ、ドキドキな失礼さも持った、「オトナ語」ですが、ま、もともとの日本語でない分、キツイ表現をオブラートにつつんだり、長くなる説明をコンパクトにまとめたりする効果もあったりで、使い易い場合も多いので、「オトナ」にとっては、ヤメラレナイ麻薬のようなものかもしれません(不謹慎な表現になってしまいましたが(汗))。




 そいで、フィージビリティーについて、ちょっと考えてみました。フィージビリティー(feasibility)を日本語でしっかりと訳せば、「実行可能性」ですね。たとえば、難しい課題に直面したときに、これを、フィージビリティーが低いというわけですね。つまりその問題が「難しい」ということです。この「難しい」というのがやっかいなものだと、僕は、戦略論的に考えてみました。

 「難しい」というのは、誰にとって難しいのかということが重要なのだと思いますが、たとえば、ある問題に対してフィージビリティーが低いのは、Aさん(または企業A)固有の特性であって、Bさんにとっては、同じ問題でもフィージビリティーが高いことは往々にしてあります。簡単に言えば、大企業Aにとっては、100人規模の工場を建設するのは財務的にそれほど難しい問題ではないかもしれませんが、小企業Bにとっては、おなじ工場を建設するのは、財務的に社運をかけた大勝負かもしれません。Aさんは数学が得意なので、あるひとつの方程式を解くのにそれほど時間がかかりませんでしたが、Bさんにとっては、1日かかっても理解できないものかもしれません。
 一方で、もうひとつ「難しい」という問題があります。それは、Aさんにとっても、Bさんにとっても同様に、同程度のレベルで絶対的に難しい問題です。たとえば、大企業Aにとっても、小企業Bにとっても、市場で「やわらか、しっとりクッキー」が受け入れられるか「さっくり、硬めクッキー」が受け入れられるか、わからないような問題です。A企業もB企業も、会社全体の規模は異なりますが、クッキーをどちらのタイプでも売ることができる(or どちらもできない)とするのであれば、同様の「難しい」程度をもった問題といえることができます。

 つまり、前者の「難しい」は相対的なもので、実行主体の能力に応じて難しさの程度がかわるもので、これがfeasibilityとよばれるものでしょう。一方で、後者の「難しい」は、絶対的なもので、実行主体の能力に応じずに難しさの程度が外部環境によって規定されているもので、ここでは、feasibilityと区別するためにdifficultyと呼んでおきましょうか。よって、feasibility(相対的実行可能性)とdifficulty(絶対的困難性)というものに、日本語の「難しい」をわけて考えてみるのはどうでしょうか。


 経営学的にいえば、このdifficultyは、Industrial Organization(産業組織論・産業構造論:IO)という研究領域のentry barriers(参入障壁)の概念に近いのかなと思います。つまり、そのIndustryの競争構造は規定的であって、企業の差異によらず一律的な利益水準をもっている(=Industry effect のみであって、firm effectが無い)。競争がゆるい産業では、相対的に利益率が高く、競争が激しい産業では、相対的に利益率が低い、というものでしょう。だから、difficultyであればあるほど、参入障壁が高いために、相対的に高い利益率を、その産業内に入ってしまった企業は享受することができるということですね。


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(想定1:difficultyと対象となる問題、課題、事業等の魅力度についての図。単純に、difficultyが高いほど魅力が高い)※ブラウザ上で上記画像をひらくとサイドバーのFlash動画が上にかぶってしまう場合には、少しページスクロールさせて画像をひらいてください。


言い換えれば、difficultyが高ければ高いほど、その市場や産業は魅力的であるということが出来ると思います。個人であっても、企業であっても、difficultyの高い問題や事業や課題にチャレンジしていくことが、高いパフォーマンスを生み出す源泉になるということでしょう。difficultyの高低によって、いくつかの選択肢が戦略的代替案として、出現しているのであれば、一義的にdifficultyの高いものを選択するのが合理的・最適な行動といえるでしょう。


 しかしながら、実行主体はdifficultyのみから単純に選択をすることはできませんね。そうです、feasibilityも踏まえて、その問題、課題、事業等の戦略的代替案を選択しなければなりません。いわば、feasibilityは、Industrial Organization(IO)の概念よりも、Resource Based View(資源ベースの分析視角:RBV)の概念に近いものであります。
ところで、これまで多くの研究者がIOとRBVの論争に決着をつけようとしてきましたが、「なんとなーーく、ま、それはそれで、、、、」的に決着はついてないような気がします。そこで、僕が細かい議論を詰めるというわけではないので、あくまでも、Operational levelでの議論にしておきましょう。
そうそう、それで、RBV的な分析評価である、feasibilityは、RBV風に言えば、Capabilities (or Resources)を固定化して戦略代替案を分類した変数群に近いものであると思います。企業にとって、Capabilitiesがある一時点で固定的なのであれば、それをもとに、各戦略的代替案がfeasibilityの高低として分類できるはずです。100円をもっているAくんが駄菓子屋さんで「当たりくじ」を引くときに、30円のくじ、80円のくじ、130円のくじがあったら、その時点でのそれぞれfeasibilityは異なります。ただし、「一時点」という静的条件をおいたのは、ひょっとしたら、Aくんは、次の日はおばあちゃんから500円のお小遣いの臨時収入を得ているので、その3種類のくじのfeasibilityは異なってしまいます。ですから、あくまでもある一時点で、相対的な直面する課題によって、このfeasibilityは流動的であります。

それで、feasibilityとdifficultyは一般的に、あらゆる情報の非対称性(Information Asymmetries)が発生していない理想的な状況を仮定すれば、すべての行動主体が同様の情報をもち、また、その組織規模などにより、Capabilitiesは異なりますが、同様の組織規模同士では、同様のdifficultyに直面することになるでしょうから、理想的な状況下では、下図のような状況が想定されます。ここでは、difficultyが高ければ高いほど、魅力的な選択肢でありますが、一方で、feasibilityは下がります、逆にいえば、すべての行動主体にとってfeasibilityが低いから、絶対的な概念であるdifficultyも低いひとつの事業・課題であるといえるでしょう(定義からして当然ですね。)。


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(想定2a:Information asymmetriesが発生しない理想的なゼロベースの状態での、difficultyとfeasibilityの相関。ドットは、問題、課題、事業等の戦略的代替案の分布を示す。)


そして、想定2の図中では、すべてのドットを戦略的代替案として示しましたが、実際には、前述のように、feasibilityが低いものは、実施しえないわけなので、最終的な実施まで含めると、事実上、feasibilityの低い選択肢(図でいえば、下のほうのドット)は、選択肢たりえませんから、下図のような状況が、行動主体が直面する戦略的代替案・選択肢の分布となるでしょう。


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(想定2b:行動主体が直面する、実際の戦略的代替案の分布)


 はてさて、このように考えますと、行動主体にとって魅力的な選択肢というのは、かなり少ないといえます(図で言えば右のほうにあるドットですね)。そこで、ヒット商品のような、ラッキーな状況をいかに戦略的につくるかということを考えますと、feasibility が高く、difficultyも高い戦略的代替案をみつけだすかということになるでしょう(図で言えば右上方のドットを、いかに発生させるかということになるでしょう)。
 いや、これは、経営サイド、とりわけ意思決定に近い立場からすれば、「そんなのあたりまえじゃんというように」このようなイメージは頭にできているわけですが、operational levelまでおりてくると、このイメージが掴めていない場合がおおいために、組織的整合がとれずに、成功する(hitする)戦略を選択することができないのではないでしょうか。
 よって、こうしたfeasibilityとdifficultyの2サイドから捉える事業選択が、何かhitをoperational levelで生み出す源泉なような気がしてなりません。


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(想定3:戦略的成功のための代替案をoperational levelで特定する。Hit-poolを見つける!)


これが、まさに言葉の切り分けとして重要な事なのだと思います。つまり、もし、「難しい」という日本語を、そのまま使ってしまったら、operational levelでは、いかに「難しい」のかがわからない。何をもって「難しい」課題に挑戦スべきかわからなくなってしまいますよね。だから、これをオトナ語として定着しているfeasibilityだけでなく、もうひとつオトナ語にdifficultyをいれてもらえると、これが定着すれば、すごく、operational levelでの日本語ベースでのミーティングが円滑に、そしてより効率的にhit-poolを見つけるように動くことが出来るようになると思いました。


IOとRBVのような大きな概念から、オトナ語としてのfeasibility(フィージビリティー)をみましたが、結論として、フィージビリティーとディフィカルティーがともに、「想定3」のような図をみなさんが頭に描けた上で、普通に語り合えるようなものとして、関連する組織内外に定着してくれれば、ちょっとの前進ですが企業力はすこしレベルアップするような気がしました。





「難しい」という言葉の曖昧性をついて、より日本語をロジカルに!そのためにオトナ語が使われるなら、後ろ向きな意義ではないので、すっごく有効的ですね!
昔ながらの・・・「わが社は、創業以来の[困難に]たちむかっている」とか、「[難しい]問題を解決することはチームメンバーにとって成長の良い機会だ」とか、そういったことは、意義を2面性をもっている「難しい」という言葉ですから、状況をむしろ曖昧にしてしまうでしょう。
だから、そこをより明確にロジカルにしていきたいわけです。「それはフィージビリティーは高いけど、ディフィカルティーが低いから、いい意見とは言えないね」とか、「フィージビリティーだけにこだわって、ディフィカルティーを忘れてないか」とか、「ディフィカルティーが高いところを狙うのは大いに賛成だが、それに対応する他社には模倣できないわが社特有で、他社が持っていないフィージビリティーの源泉は何かを挙げてくれ」とか、そんな活発な議論が「オトナ語」で交わされることを期待しつつ、雑想手帖おわり!!(ってゆーか、文書が長くなってしまったので、理論も詰めず、文章校正もしないで、おわりにしちゃいます!)



図を描くのにつかれてしまいました。ふ~。なんか、初回の雑想手帖だったので、気合いれすぎちゃったな~。自分のメモ目的がメインなので、これからは、もっとさっくり書いてきます。あくまでも、このエントリーは、アイディアのガラクタ箱みたいなスタンスで~~~す!!


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